日々是相談「それでも会社は辞めたくない・辞められない」セクハラ相談
日々是相談「それでも会社は辞めたくない・辞められない」
17時に予約していた(S)です。
お待ちしていました、行政書士の田中です。
今日は終日の雨でしたね。
自粛も解除されましたが、まだまだ日常には戻れないようで、この雨もその流れなのかもしれませんね。
飲み物は紅茶でよろしいですか。
いえ、持ってきましたから大丈夫です。
そうですか、では始めましょう。
どうされましたか。
【相談】
会社の上司との関係で悩んでいるのですが、一人では解決の糸口すら思い浮かばなくて。
このままでは辞めてしまいそうなのです。
今は出勤が奇数日と偶数日で分かれているので直接会うことは減ったのですが、いずれ以前の日常が戻ればそういう工夫もなくなるので。
食品開発の会社です。
名目は開発ですが、実のところは食品の卸しが主です。
お中元やお歳暮等の詰め合わせセットがあるじゃないですか。
それの卸元です。
最近はカタログギフトも増えてきましたが、そういう会社とも取引しています。
新事業として3年ほど前から飲食店の方たちに新しいメニューのご提案も始めました。
私はその部署の営業をしています。
自社オリジナル商品を使った新たなメニューを開発して居酒屋さんとかに営業し、採用していただくことによってオリジナル商品の販路を拡大しています。
やりがいは非常にあります。
で、契約成立し新たなメニューを入れて頂いたお店には上司、そうです、さっき言った関係で悩んでいる上司も一緒に飲みに行くんです。
仕事です。
それは、れっきとした仕事です。
私は疑いなくそう思っていました。上司もそうだと思っています。
二人ではないです。
他の社員の方もお誘いして数人で行きます。
当然お店の方にご挨拶もあるので自然な流れとしてその上司の隣に座ることになります。
2・3回そういうことが続いて、突然手を握られたのです。
私もその手を振り解けばよかったのかもしれませんが。
多分ですが私が許していると思ったのでしょう。
私には振り解く勇気がなかっただけですが。
振り絞るように「すみません、トイレに」と言ってその場はなんとか逃げました。
それが精いっぱいでした。
その後も仕事で飲みに行く機会はありましたが、二人になった時に誘いの言葉も言われました。
どうしたらいいですか?
拒絶すると会社に居ずらいだろうし、誰かに相談もしにくいし、悩んでいます。
今回の自粛が収まったらまた同じようなことになるのではないかと。
【回答】
(行)Sさんには全くその気がないのですね。
(S)はい。既婚者ですし。
(行)そうですか、で、また「妻とうまくいっていない」とかいわれるでしょ。
(S)はい。どうでもいいんですけど。
本当に上司でなければ、そして私に守るものがなければ、こんなに悩むこともありません。
実は私、✖がついていまして、シングルマザーなんです。
4年ほど前にそうなりました。
子供は一人います。男の子です。
やっと小学校に上がりましたが、まだ登校していません。
来週から始まるみたいですが、毎日ではないそうです。
離婚後今の会社に就職しました。
正社員を目指して就活していたので大変でした。
なんとか今の会社に就職できましたが、今更会社を辞めて新たに、というのは無理です。
ましてこの時期、無理です。
なんとか続けたいし、こんなことで辞めなければならないなんてそれこそ馬鹿らしいでしょ。
まだ女性は男社会では厳しいんです。
仕事以外の部分でこんな悩みを抱えなければいけないなんて。
おかしいですよね。
(行)そうですね。
随分前から平等を謳いながら今も昔もそんなに変わっちゃいませんからね。
会社内のコンプラも機能していません。
(S)そうなんですよ。
なので誰にも相談できずに今日ここにきました。
なんかいい知恵でも授けて頂こうと思いまして。
(行)大ごとにしないようにやんわりと終わらす、しかもお二人の関係性が壊れないように、上司、部下の正しい関係に戻るように、ですよね。
(S)そうです。
(行)針に糸を通すような感じですね。
今度誘いの言葉を受けた時に、ですね、そっと渡せるような手紙を作成しますか。
(S)手紙ですか。
(行)内容は、今までSさんが仰ったこと、その内容です。
離婚してシングルマザーとして働かないといけない状況、就職活動が大変だったこと、今の職場と環境を失うことがどうしてもできないこと、その上司への感情は微塵もないこと、但し上司としては尊敬していること、等です。
その他にも今後のSさんの仕事への情熱、特にコロナ禍で大変だった居酒屋さんをどうしたら以前のように盛り上げることができるか、自分に何ができるかなどを書きましょう。
仕事のことを多く書くことで今の仕事に誇りや希望、やり甲斐などをSさんが感じていることを表現します。
(S)私には書けないので先生にお願いします。
(行)いいですよ。
ただ、パソコンで作成したものを渡されても気持ちが伝わりませんから、事務所が作成したものをSさんが手書きで清書してください。
(S)はい、やっぱり手書きのものですよね。
(行)そうです。
一週間以内には仕上げますから、次回ここに来られるときは書きやすいペンと罫線がある便箋をご用意ください。
Sさんの言葉に直しながらここで清書して頂きますので。
(S)はい、分かりました。
【相談後】
(行)雨もすっかり止みましたね。
(S)長いことご相談頂きありがとうございました。
少し希望が見えました。
(行)気を付けてお帰り下さい。
行政書士 家族の問題法務事務所
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