日々是セクハラ相談「仕事は続けたい、辞めたくはない」実務Ver15
日々是セクハラ相談「仕事は続けたい、辞めたくはない」実務Ver15
13時に予約していた(O)です。
どうぞこちらへ、雨がひどかったでしょう。
そろそろお彼岸ですから暑さは和らぎましたが、不安定ですね。
飲み物は暖かい紅茶でいいですか?
では始めましょうか。
どうされましたか?
【問】
今まで誰にもこの問題を打ち明けていないので、どう話していいのかと昨晩から悩んでいたのですが。
(行)では私が少しリードしましょうか。
その問題とはいったい何ですか?
(O)会社の上司から何度かお誘いを受けていまして。
(行)そのお誘いが問題なのですか?
(O)そうです。
誘ってくださるのは私の今の直属の上司の方です。年齢はもうすぐ50歳になるような方で来年度には取締役になることが内定しておられます。
私は勤めだして5年ほど経ちました。
昨年の途中に部署を異動になりまして、その方の部署に配属されました。
異動してからの一カ月ほどは新しく覚えることが山積で、こんな自分にできるのかと毎日不安で仕方のない日を送っていました。
その時、親身になっていろいろと指導してくださったのがその上司です。
部長です。
失敗も数多くしましたが、優しくフォローしていただき感謝しています。
こうなった今もその気持ちに変化はないのですが。
部署の異動から2ヶ月くらいしたころだったと記憶しています。
今度食事でもというお誘いを受けました。
気持ち的には本当にうれしかったのです。こんな仕事が出来ない自分を誘っていただき労ってくださるお気持ちが。
その最初のお誘いは私の所属チーム(4名います。)全員と部長さんとの小さな会でした。
私の異動後の大変だった時期に対しての「労いの会」というお食事会でした。
楽しかったです。
会社の昔のことや、人と成りや、部長さんの若かった頃の失敗談とか、楽しい食事会でした。
その食事会が掃けた後、その夜です。
部長さんからLINEがありました。
今日の食事会のこと等が書かれていましたが、次は二人で行かないか?というニュアンスにとれる言葉がくっついていたと記憶しています。
どう返していいのか分からなかったので、そこには触れずにただ挨拶程度の返信をしました。
それから暫くは何事もなかったのですが、やっぱり誘われました。
とても断る勇気はありません。
どうしたらいいのかも分からないままそのお誘いに。
一度目は前の食事会の続編的なもので終始和やかに、淡々と、上司と部下というそれ以上の関係を想像させるようなものではありませんでした。
自分が考えていた部長さんの想いとのズレで、思い悩んでいたことが部長さんに対して失礼で、いたたまれなく、恥ずかしい気持ちになってしまいました。
考えてみれば年齢も20も違うし、部長さんには奥さんも大学生の子供さんもいらっしゃるので。
しかし、それから度々誘われるようになり、お話も家庭がうまくいっていないとか、奥様の悪口とか、その手の話が多くなってきました。
段々と不安になり今更ですが最初にお断りしていたほうが良かったのではと、考えても仕方がないようなことを考えるようになってきました。
自分の心の隙が招いたことですが、どうしたらいいのか分からなくて。
仕事は気にいっているので辞めたくないし、これからキャリアもできれば積みたいし。
これはセクハラというものなんでしょうか。思いたくはないのですが。
【回答】
(行)そうですね。
緩やかに侵食されていますよね。Oさんの心の中も、職場も、緩やかに。
(O)段々と居場所が狭まってきているように感じています。
最後に誘われたときに急に手を握られました。
私としては咄嗟の出来事で身もすくみ、吃驚して振りほどくこともできなかったのですが、許していると思われたらしく、しばらくそのままでした。
その時にこれはもう限界ではないかと。
こんな誘いにいつまでも乗っているようではと思って今日相談に来た次第です。
(行)はっきりと断れば上司と部下の関係がぎくしゃくしかねないし、かといってこのままではいつか大きな問題にまで発展しかねないですものね。
(O)大きな問題?そういうことですか。
(行)何度も誘う、家庭がうまくいっていない等の発言、手を握る、さてその次は?
男ですよ。部長さんも。50になろうかしてもその辺は一般の男性と変わりありません。
どちらかを選ぶとしたら、やっぱりはっきりとお断りするしかないと思います。
それがその後の仕事に影響を及ぼすとしても、このままではいれないでしょう。
決断の時と思います。そのためにここに来たのでしょう。誰かに聞いてもらいたくて、また自分の背中を押してもらいたくて、違いますか?
(O)その通りです。
でも断り方で少しでも関係を壊さないようないい方法でもあればと、都合が良すぎますよね。
そうなんです。
そんな都合のいいことがあるわけもないと分かっているのですが、仕事を今諦める気にはなれなくて。
やっと苦労して覚えた仕事を今後に生かせればと、また、一緒に働く仲間も凄く良くしてくれるので、本当に辞めたくないのです。
(行)次に誘われたときに渡す手紙はどうですか?
(O)手紙?ですか。
(行)はい。
今日のOさんのその気持ちを手紙にするのです。
部署を異動してからいろいろと親身に教えていただいたこと。
失敗もフォローしてもらったこと。
部長さんからのお誘いが最初は本当に嬉しかったこと。
その食事会も本当に楽しかったこと。
何度もごちそうになりその都度楽しかったこと。
しかし、段々と侵食されていること。
Oさん自体にその気はないこと。
どこにでもある有り触れた上司と部下の関係に戻りたいこと。
上司としての部長さんを今も尊敬していること。
などを手紙に認めませんか。
次に誘われたとき、どこかのタイミングでお渡しできるようにご用意されていたらいいかもしれません。
針に糸を通すような気持ちで部長さんを信じて手紙を書くのはどうでしょうか。
気持ちは通じると思います。
お話を聞いていて思ったのは、その部長さん、結構できた方と思います。
十分にOさんの気持ちを理解してくださると思います。
そんな手紙にしましょう。
原案は事務所で作成しますが、Oさんの言葉と感情に直して、手書きで清書してください。
本気の心を分からないような部長さんではないと。
Oさんが今でも尊敬している部長さんですから、分かってもらえますよ。
きっと。
以上です。
【相談後】
雨がまだ降っていますよ。
予報では午後から上がると言ってましたが。
(O)雨はいろんなものを洗い流してくれそうなので好きなんですよ。
雨音も含めて。
(行)Oさんらしい言葉ですね。
良い手紙にしておきますので、Oさんも更に良い手紙に仕上げてください。
(O)はい。分かりました。
(行)次回は清書するためのペンと便箋をご持参ください。
(O)はい。
(行)では。
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