日々是婚前契約相談「失敗はしたくない再婚」実務Ver25
日々是婚前契約相談「失敗はしたくない再婚」実務Ver25
14時に予約していた(S)です。
今日から11月ですが、特に今朝は寒かったですね。
慌てて暖房入れましたよ。どうぞこちらへ、飲み物はコーヒーでいいですか。
では始めましょう。
どうされましたか。
【問】
私は3年ほど前に離婚しています。
子供はできなかったので、別れる時も何ら取り決めらしいものはしませんでした。
夫と離婚後に関わりを持つのが嫌だったので、慰謝料をもらえる立場でしたがとにかく離婚さえできればいいとあっさりと判を押しました。
その生活とその時間が苦しかったので2度と同じことは繰り返したくないという思いが強く、暫くは一人の生活に戻ろうと。
それから早3年です。
前の結婚の時は仕事らしいことはやっていませんでした。
独占欲が強く嫉妬深い人で、私が外で働くことを良しとしない人でしたから。
独身の時はライターをしていましたから内職的に在宅でもできる仕事をもらいながら細々とライターとしてのキャリアを積んでいました。
離婚してからはある人の勧めで復職しています。
ある人とは今の会社の社長さんです。
小さな会社ですが大手出版社からの請負仕事もあるので忙しい方だと思っています。
そこでライターもしていますが、ほかに経理も少し。
スタッフは10名ほどですが、皆仲良くやっています。
私が知らないだけかもしれませんが、概ね仲良くというところでしょうか。
実は勤めて1年くらいしたとき、同じ職場のFさんにお誘いを受け、その後紆余曲折ありましたが、お付き合いするようになりました。
切っ掛けとかは思い出せないくらい薄いのですが同じ仕事をする仲間として同じ悩みを共有できる喜びもありましたから。
彼も離婚経験者で痛みを解ってもらえたりするところにも惹かれました。
若い時の恋愛と違って、言葉で現し難いですが、人生を共に歩く仲間を見つけたような感覚とでも言ったらいいのかもしれませんが、そんな感じです。
恥ずかしいですね。
さっき会ったばかりなのにどうしてこんなことまでお話するのか。
(行)全然恥ずかしくなんかありませんよ。
私より14歳年上の方です。
年齢がだいぶ違うこともあって話題が合わない時もありますが、価値観が同じなので一緒にいて楽なんです。
先日、その彼から申し込まれまして、結婚を。
私は結婚までは考えてはいなかったので、少し焦りましたね。
別に今までと同じスタンスで良いという気持ちがありまして、すぐには返事はしていないのです。
もうしばらく独りでもいいと思っていましたから。
子供は以前は欲しかったのですが、今の歳では少々厳しいですし、せっかく復職してこれからというところで、また家庭に入る気は毛頭ないのです。
ただ、結婚したくないわけではありません。
ここで逃せば一生独身のような気もしますし。
なので私の条件さえクリアしてもらえれば、というところです。
その条件もさっきお話したようなことなんですが、口約束でいいものなのか、きちんと契約していたほうが良いのか分からないのです。
結婚前から契約とか「うざい女」と思われてそうで切り出しづらくて。
それで先生のアドバイスを聞こうと思いまして今日予約させていただきました。
どうかよろしくお願いします。
【回答】
それはおめでとうございます。
結婚すればいいじゃないですか。
一人暮らしも長くなればなるほどその環境に慣れて良いものでしょうが、いつまでも一人は考えものですよ。
最期は皆一人になるのですから元気で丈夫なうちは結婚していてもいいのではないでしょうか。
ちょっとあまりにも先の話になりましたが。
契約することも大切ですがその前に自身のお気持ちを素直にお伝えしなければなりませんね。
二人ともに離婚経験者であるなら共通項としての「失敗してはいけない思い」が有るはずです。
SさんにもFさんにも。
失敗しないコツ等漠然としていてなかなかこの場ではお伝えしきれないのですが、唯一言えることはお互いを尊重できるかということと思います。
個体として。
嫁だから旦那だからということから夫婦を始めると失敗しがちです。
一人の女性、一人の男性という個体として尊重する気持ちがあればいいのではないでしょうか。
思いやりの心も沸く、気遣いもできる二人になればいいのでは。
若いころとは違う恋愛と仰っていましたが、落ち着いた大人の交際であればなおさら結婚してもそれまでの二人の関係が大きく変わることは無いのではと想像していますが。
(S)
一つ問題がありまして。
彼は前の奥様との間に2人の子供があります。
今もその子たちの養育費を毎月支払っているのです。
(行)
如何ほどですか?
なるほど大変ですね。
(S)
なので、家計を一緒にはしたくないのです。
(行)
別財布ということでしょうか。
そうですね。
(行)
では、生活費をどのくらいかかるかを算出し、それぞれの収入比率から拠出するような契約にされたらいいかもしれません。
毎月少なくとも20万多い時は30万は掛かるでしょう。
余ったら翌月に回すことができるように。
互いに生活費を支払った残りをそれぞれ個人的出費に充当する、彼は養育費に充てたり、Sさんは貯蓄に回したりできればいいのではないでしょうか。
(S)
あとは、子供はもういいかなということでそこも取り決めていたいのです。
(行)
はい、分かりました。
でもできる可能性、ありますよね。
(S)
そうですね、その時は産みますが、仕事はできる限り続けたいのです。
なのでそこの契約は但し書きを付けていただければ。
(行)
そうですね。
「二人の間に子供はいらない、但し、子ができた場合は産むことを前提に考え、育児に関しても二人で協力し、Sの仕事が継続できる環境を整えるように務める」
なる条文を入れれば問題ありませんね。
(S)
ありがとうございます。
そういう文例を見ると前向きに考えれますね。
こういうことが「形にする」ということなんですね。
私も物書きの端くれなので、文章の持つ力というのでしょうか、知っていますが契約も同じ文章ですものね。
(行)
契約とは見えない将来を文章で具現化するものですから。
来週までにはお二人の婚前契約書(仮)を作成しておきますので、ぜひFさんと一緒にお越しください。
(S)
はい、彼には今日ここに行くことも伝えているので多分ですが来週都合付けて伺います。
(行)
注意として、夫婦間の契約は片方から破棄できるのです。
なので必ず婚姻届を提出する前に契約してください。
(S)
そうなんですね。
知らなかったです。
だから「婚前」なんですね。理解できました。
【相談後】
(S)
離婚を経験すると臆病になるんですよ。
前の経験が重すぎるのでしょうが、なので再度の失敗はできるだけ避けたいのです。
(行)
契約しているからといって全てがうまくいくこともありませんが、やはり何もないよりは遥かに良いと思います。
別れることを前提にした契約もありますが、SさんとFさんの契約はより良い結婚生活を送るための契約ですから。
では来週ご用意しておきますね。
(S)
よろしくお願いします。
(行)
はい、分かりました。
行政書士家族の問題法務事務所
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