日々是夫婦関係修復相談「僕たちは、本当にやり直せるのだろうか?」実務Ver29
日々是夫婦関係修復相談「僕たちは、本当にやり直せるのだろうか?」実務Ver29
10時に予約していた(A)です。
今日は季節外れの陽気で、南風の影響でしょうが蒸し暑いですね。
この季節にこの暑さは閉口しますが。
飲み物は冷たいお茶にしましょう。
では始めましょう。
どうされましたか。
【問】
私たちが結婚したのが5年ほど前です。
交際しているときに子供が出来たので、自然な流れで一緒になりました。
子供ができなくても結婚するならこの人と考えていましたから。
「自然」という言葉が当てはまるのかと。
結婚当初は仲がいい方だったと思います。
他のご夫婦がどのようなのか推し量りようがないので比較ということはできませんが、二人の記念日には相応しい料理や贈り物をしていましたから。
今となっては遠い昔のように思えてきますが、時を数えればまだほんの少ししか経っていないのです。不思議です。
何だか長くこの結婚生活を送っているような気がして。
多分それは彼も同じ気持ちではないかと思っています。
今は二人の時間はあっても共有した時間ではありません。
ここ2年ほどでしょうか。
原因ですか?
子供が生まれてから育児のことでちょいちょい揉めるようになってきたのがきっかけですかね。
私はそれほど神経質ではないので奔放に育てたい、肩ひじ張らずに自分なりの育児を目指していました。
育児に関しても情報過多の時代に、その得た情報を精査もなしに受け入れるほど愚かなことはないという気持ちでスタートしました。
「こうしなければ」というより「これでもいい」という様に。
多様性というのでしょうか。
子育てでは皆さん不安みたいで何かと質問ばかりの育児サイトなどが立ち上がっているんですよ。
どれが正解かなんて子供が大きくなってじゃないと分からないようなことも多くて、見るのもそれ相応の覚悟がいるのです。
しっかりと自分の子育てというものがなければ迷路にはまるようなものです。
彼はというと何かとそのネット情報を信じるタイプで、最初は私にいろいろとアドバイスの気持ちからだったのでしょうが、ほぼ私の育児に口出ししてくるようになってきました。
具体的には、子供の泣き声を聞き分けるサイトの泣き声比較を聞いて、「今のはミルクだとか、今のはオムツだとか、寒いのだの暑いのだの」子供が泣く度に毎回言ってました。
そんなのどれか当てはまるものですから、あたりもあれば外れもありますよ。
だからわざわざ聞き分けなくても良いことで、少なからずうんざりしていました。
また、明るい色を沢山見せる方が色彩豊かな子供に育つとかで、なので男の子ですが赤やピンクのベビー服を選んで着せたがるのです。
「えっ」と思うような極彩色の服もあります。
外出時は彼が率先して抱っこひもで子を抱えています。
世間用のイクメンアピールと思いますが、家では抱っこなど一切やらない人です。
愛情がないというと違う気もしますが、自分が何より大切な人ですから、分かりません。
彼の気持ちは。
ということで今は殆ど会話もありません。
子供ももうすぐ5歳で、日々手がかからなくなってきましたし、幼児でも自我が芽生えてきています。
なので最近は育児で揉めることがない、つまり引き算すると夫婦の会話がないということになっています。
会話していたと感じていたのは実は揉め事からの言い争いだったということです。
先日彼が壁掛けのホワイトボードを買ってきました。
なんに使うのかなと思っていたら
「僕たちは、本当にやり直せるのだろうか?」
とホワイトボードの右側のところに表題を書いているのです。
その言葉にふっと我に返りました。
このままではいけない。
夫婦がこのままではいけないという思いは彼の中にも十分すぎるくらいあったのだと。
それ以外は何も書いてありませんが、それ以外は書かずともいいと思っているのか、静かに飾ってあります。
私も何も書いていません。
でも何か書きなさいよと言われているみたいで、でも何を今更書けばいいのかも分からなくなっています。
夫婦の会話が無くなってからの【仮面の時間】がそうさせているのでしょうが。
なので今日は夫婦関係をやり直す為に先生の事務所にきました。
小さなことでもいいので教えていただければ。
よろしくお願いします。
【回答】
そうでしたか。
よく分かりました。
大きな揉め事がなくても毎日毎日些細なことで揉め続けると気も滅入りがちですからね。
子育て大変でしたね。
(A)
そうですね、外界との距離がますます広がっていくような感じでした。
毎日家の中だけでの生活。
子供の世話に明け暮れていましたから。
外出しようにも子連れは想像以上に大変なんです。
まず天候のこともあるし、荷物も半端ないし、交通手段にしても。
電車で大泣きされたこともしばしばで。
そうなると億劫になります。
やむを得ず外出するとき以外はなんとなく家で過ごす時間が増えてきます。
皆さん同じだろうと思いますが。
(行)
私もよく電車で遭遇しますよ。
お母さんの申し訳なさげな顔が印象に残ります。
(A)
車内で子が泣き出したら消え入りたいくらいです。
降車駅ではないのですが次の駅で降りたこと何回もあります。
泣き止むまでその駅で電車を何本もやり過ごして。
こっちが泣きたい気分に。
(行)
夫婦関係の修復でしたね。
難しいものです。
それができれば誰も離婚はしません。
やり直すことが簡単であればわざわざ離婚を選ぶ必要なんてありませんから。
ご主人はその気なのですね。
じゃないとホワイトボードにわざわざ書き込みなんかしないですものね。
相手に見えるところに。
しかも堂々と。
「僕たちは、本当にやり直せるのだろうか?」
(A)
私はそれに何と書いたらいいのかと。
それを見た時に本当に焦りましたし、次に何か書くのかと思っていましたが何も書かないし。
ということは私の番ということでしょうか。
(行)
そうでしょうね。
彼は一文で今までのことと今から先のことを表現していますから、賢い方ですね。
初めてです。
そんな方は。
私もいろいろと相談に乗っていますが、やられた感がありますね。
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うーん。
Aさんが書く言葉も同じでいいのではないでしょうか。
「私たちは、本当にやり直せるのだろうか?」
と書きませんか。
まずは壁から外して書き込み、ご主人が帰って来られてから同じ場所に飾れば、同じ壁に静かに掛ければ。
必ずその夜は話を、少しでもいいので話をしましょう。
中身は何でもいいです。
やり直すことは既にホワイトボードに書いたわけですから。
(A)
なんか、書き込んだ後の生活が一瞬で見えてきました。
早速帰ってホワイトボードに書き込みます。
それが彼が望んでいた答えであると確信しました。
話もできそうです。
何だか発信することが怖かっただけだったようです。
ほんと解けました。
彼が発信してくれたおかげで。
「ありがとうっ」て素直に言えそうです。
彼が望んでいた答えと万一相違があったとしても押し通します。
それも会話になっていくということですものね。
(行)
私からはもう何もありません。
以上です。
【相談後】
夫婦関係の修復は時間もそれ相応にかかる作業です。
【仮面の時間】の2年を埋めるには通常は同じく2年を要するものです。
仲が悪かったことを忘れるために来た道と同じ道を逆に辿りながら生活しなければなりません。
しかし、忘れることはありませんから、そこの2年から仲が悪くならない方法を学ばなければいけない。
でもAさんたちご夫婦は彼のその思考能力に助けられたのではないですか。
優れた解決能力ですよ。
たった15文字程度の言葉で過去の時間を埋め尽くしてしまったわけですから。
Aさんの表情も良くなりました。
(A)
ありがとうございました。
今夜は彼の好物を用意して久々に夕食を一緒にとります。
その覚悟、やっとできました。
きっと喜ぶと思います。
彼が喜ばなくても私は嬉しい。
またご連絡差し上げます。
(行)
どうぞ。
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