日々是相談「ソーシャルディスタンス夫婦」揉めたくない離婚相談
13時から予約していた(U)です。
どうぞこちらへ。
久しぶりの雨で何か他のものも洗い流してくれそうな、そんな雨ならいいですね。
今日は車ですか?
はい。
電車は減便しているし、道路も空いているので今日は車で来ました。
そうですか、連休中で、皆さん外出も控えていますからね。
では始めましょうか。
どうされました。
【相談】
結婚して20年が経ちました。
夫との生活は苦労の連続でしたが、子供が唯一支えて来てくれました。
小さいころから私のことを助けてくれる優しい子でしたから、その子を授かったことで彼の役目は終わったのかもしれません。
仕事は真面目に取組む人なんですが、家のことは一切合切私任せで、子育ても親の面倒も親戚付き合いも全て私がやってきました。
家計の足しに私も子の手が離れてからは仕事を持ちました。
今も続けています。そうですね、週に5回、輪番で働いています。
遅い日もありますが、凡そ6時くらいには家に帰ります。
輪番なので土日も関係なく働いていますが、夫は何も手伝ってくれません。
テーブルの決まった席に腰かけて何一つ動かすこともせずネットばかり、その姿を見るだけでウンザリするのですが、解らない、解ろうとしないのです。私の気持ちなぞ。
今どんなことを考えているかとか、夫婦なら相手の言葉や態度に出てこない心の中を推察することって当たり前のことと思うのですが、元は他人なら尚更、それをしないのはいかがなものかといつも思っています。
何とも身勝手な人なんです。
私の両親はとても仲のいい夫婦でしたから、それが当然の夫婦の姿として育ちました。
歳が離れた姉もいるのですが姉夫婦も私が見る限りでは仲がいい夫婦です。
何もないわけではないでしょうが、羨ましいんです。
それに引き換え我が家は夫婦の会話すら覚束ない状況です。
ソーシャルディスタンスと言われていますが、そういう言葉を聞く前から家ではそれが標準の夫婦の距離感、パーソナルディスタンスとなっています。
夫を自分に振り向かすことができなかった私の罪でもあるかもしれませんが。
来春、娘も就職します。
コロナの影響で就職がスムーズにいくか心配ですが、本人はそのつもりで活動しています。
夫婦の役目も妻としての役目も一区切りついたのかなぁと考えています。
あと何年人生があるのか分かりませんが、この先、娘もいない夫婦二人っきりの生活を続けることは耐えられそうにありません。
それなら一人がいいし、一人分の、自分の生活くらいなんとかなるかなって思います。
元々質素に生きてきましたから、贅沢しなければ自分独り食べていくくらいは自分で稼いでいますから。
で、世の中が落ち着いたら離婚成立に向けて話合う積りですが、その時どのようなことに気をつければスムーズに行くのか、揉めない方法とかあるなら伺いたいのですが、よろしくお願いします。
【回答】
(行)揉めない離婚ですか。
それはまた超難問ですね。
(U)そうですよね、揉めてるからこそ先生を頼る方たちが殆どでしょうから。
分かってはいるのですが、何年もまともに会話すらしていない夫とどうやって離婚に向けて話合えばいいのか、そこの糸口すら見えない状況なので。
(行)揉めたくなくとも、相手があることですから、揉める場合も多々あります。
揉めないようにというところをまず、その考えをUさんが予め改めておかなければ糸口は当然見えてきません。
しかし、離婚は最終的に二人の合意なので、二人の気持ちが一致しないとできないでしょう。
とすれば揉めるからこその物種ですよ。
揉めてもいいんですよ。
元々他人で、以後は他人になるのですから。
糸口は切らないといけませんから、話し合いができそうにないのなら弁護士さんを立てられてはいかがですか?
弁護士さんは私たち行政書士と違って代理権があるのでUさんのお気持ちをきちんと伝えてくれますよ。
(U)弁護士さんも考えたのですが、事を荒立てるような気がして、それで二の足を踏んでいるのです。
(行)そうですか。
私の提携弁護士さんは物腰も柔らかい方ですから一度ご相談されてもいいかもしれません。
ご紹介しておきましょう。
(U)ありがとうございます。
先生は揉めてもと言われましたが、先生ならどの様に進められるのですか?
(行)私はですね、勿論弁護士さんと違って代理権がありませんから、Uさんが主体で話を持っていくところを後ろから援護射撃するようなかたちです。
まずは手紙を作成します。
少しきつめの。
離婚は当然としたうえで。
当然というのは二人とも離婚に合意しているというところから始めます。
そのうえで財産分与請求、慰謝料、年金の分割等の提示を速やかに行います。
スピード感を持って。
最近よく聞く言葉ですが。
手紙から協議書を渡すまで時間を掛けず、畳みかけるように。
誰にも相談させないために返事の期限は長くても一週間とかの期限を設けて。
その返事がどんなものであれ、こちらとしては突き進むまでです。
離婚したくないと言われても。突き進むのみです。
何度か請求していく中で条件を緩和していきます。
慰謝料はいらないとか、財産分与は従来の半分とか。
だから最初の請求は考えているものよりも多目にしておきます。
それで駄目なら調停です。
調停は調停委員を交えた輪会ですからご自身でもできますし、ご心配ならその時点から弁護士さんを付けられてもいいと思います。
そういう流れです。
ね、揉めるでしょ。
(U)今の話を聞いていると、やはり揉めそうですね。
(行)揉めても離婚したいのでしょ、Uさん。
揉めるくらいなら離婚はしたくないということではないでしょう。
(U)なんか、そうですね。
揉めても離婚したほうがいいです。
一人になりたい、その気持ちしかありません。
やっと吹っ切れました。
覚悟を持って臨まなければならない問題なんですね。
離婚とはそういうものなんですね。
(行)人生の中でも非常に大きなストレスが掛かるものの一つです。
覚悟は要ります。
(U)分かりました。
少し時間を待ってもらっていいですか?
考えてみます。考えた結果先生にまたお世話になるかもしれませんが、その時はどうぞよろしくお願いします。
(行)はい。
じっくり考えて下さい。
Uさん夫妻の大きな岐路ですから。
またご連絡ください。
お待ちしています。
【相談後】
(U)もうこんな時間でしたね。
話をしてると時間の感覚が薄れて、長いことお邪魔しました。
(行)初回の相談は皆さん長くかかります。
本音が出るまで時間が要りますから。
それだけ皆さん真剣に悩んでるんだと認識しています。
(U)今日は本当にありがとうございました。
またご連絡差し上げます。
行政書士 家族の問題法務事務所
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