日々是離婚相談「モラハラ夫と別れたい、何もいらないただ離婚したい」実務Ver12
日々是離婚相談 「モラハラ夫と別れたい妻、何もいらないただ離婚がしたい」実務Ver12
11時に予約していた(A)です。
お待ちしていました。どうぞこちらへ。
飲み物はコーヒーでいいですか?
では始めましょうか。
どうされましたか。
【問】
夫と結婚して3年目です。
結婚当初はそうでもなかったのですが、最近特にひどくなってきました。
実は夫は「モラハラ」なんです。
私のやること成すこと全てに文句が付いて回ります。
ご飯も最初は「美味しい」というコメントだったのですが、ここ1年ほどは美味しいと言ったことはありません。
「俺が作った方がまし」と言いながら箸でひょいと摘み上げ繁々と食べ物を見たりします。
一口付けて「あぁ、やっぱり」と味付けに文句は当たり前。
お米の炊き方にも文句を言うし、米の研ぎ方がなってない、研いでから何分おいていたか、固い、柔らかい。等など。
ちょうどいいご飯が食べたいそうです。
酷いときは一口もつけない時もあります。
お腹は空くのでしょう。後でカップ麺食べていますから。
こんな調子で、せっかくの食事が全く楽しくなく、苦痛になり、私まで食欲がなくなります。
二人で買い物に行くときもあるのですが、彼が行きたい店にしか行きません。
私が好きな洋服屋さんに入ろうとしてもさっさと素通りです。
彼の趣味は釣りなので釣具屋さんに連れていかれ、ほったらかしにされています。
全てがそんな感じで逆らうことも許されず、私を支配し、見下しています。
私の両親のことも嫌いみたいで、
「この親にしてこの娘あり」
と実家に里帰りした後は必ず文句を言っています。
「飯が不味い」と。
機嫌がいい時もあるのですが、そんな日でも私がびくつくようになってきて、なんだかぎくしゃくするのです。
彼が帰宅する時間に動悸がするような、胸の中がざわつくような。
最近はもう怖いのです。
喧嘩にもなりません。口論したところで言い負かされるのが落ちです。
彼は、外面は良いみたいで、友達も多く、その友達を家に招いたときなどは私が知っている彼ではありません。
私の料理をその友達に自慢してみたり、私のことを褒めて惚気たりしています。
その二面性を間近に見るのが本当に嫌で、誰かが家に来ることも極力避けたいのですが、彼の社交性のアピールの場に使われています。
義父母が来た時も同じように振る舞っています。
彼は両親の前ではいい息子を演じ続けています。
なのでご両親は彼の暗部をこれっぽっちも知らないと思います。
どちらが本当の彼なのか、私が知っている彼が本物で、世間様には分厚い【仮面】をつけていると思っているのですが。
子供もいないし、離婚しか考えていないのですが、どう進めていけばいいのか分からい状態です。
離婚さえできればいいです。
何もいりません。
離婚することは彼の人生には無いみたいなのです。
世間体が悪いのでしょう。
あんな盛大に結婚式を挙げておいて3年で別れるなんて。
しかし、このままの彼とこの先もずっと一緒にいることはとてもじゃないけど耐えれないのです。
どうしたらいいでしょうか。
【回答】
それは毎日が苦痛でしょう。
結婚して3年、今が一番幸せな時だろうと、周りからすればそう思われていることでしょう。
「モラハラ夫」は表面化し難いものです。家庭の中だけで起こり得るものですから。
モラハラ人は自己中心的な方が多いとも聞いています。
(A)そうですね、彼もどちらかというと。
(行)それと共に良い人アピールが強い人。
その歪が出ているかもしれませんね。
良い人と思われるためにはどうするか。
まずは自分が良い人ではない、ということが前提です。
良い人ではない自分をいかに良い人のように見せていくか。
それを具現化していくことで本来の性格との大きな歪が生じているのではないでしょうか。
本当に良い人は「良い人アピール」なんてする必要性がありませんから。
(一般論です。)
さてどう進めていきましょうか。
義理のご両親は彼のこの暗部を全く知らないのですか?
(A)はい。多分。
いつも夫のことを優秀な出来のいい息子と言っていますから。
まさかこのような家庭生活が送られていようとは知らない筈です。
(行)そうですか。
離婚したいことはどなたかに伝えました?
(A)妹にはそれとなく伝えましたが、両親には何も。
私の両親も良い旦那さんと今も思っていますから。言い辛いというか、言えないのです。
(行)では、本当にお一人で悩まれて来たのですね。
よく今日はご相談に来られましたね。
(A)はい。
この問題を打ち明けるのに相当勇気がいりましたが、無い勇気を振り絞ってでも相談することが問題の解決に繋がると思いまして。で、今日ここに。
(行)別居は考えなかったのですか。
(A)別居はもうずいぶん前からしたいと思っているのですが、先にも言ったように何も知らない両親を心配させることにもなるし、なので今の状況では実家には戻れないのです。
(行)でもいずれ伝えなければならないでしょう。原因もなく離婚する人はそうそういませんから。
いい機会と捉えて義理の両親とAさんのご両親に手紙で現状を知らせることから始めませんか。
Aさんのご両親には後からでもいいですが。
先に義理の両親宛に、彼の本質を伝えてはいかがですか。
今日の相談で言われたこと全てを伝えなくても、その半分位でもいいと思いますが、まずは義父母に知って貰うこと。
義父母も俄かに信じられないかもしれませんが、信じて貰えないというのはAさんにとって実は好都合です。
義父母に信じてもらえないこと、そうなることによってAさんの離婚したいという気持ちを義父母が応援してくれますよ。
(A)夫に離婚したい旨を伝えるタイミングとかありますか?
(行)義父母に手紙を出した時が、彼に離婚を伝えるベストなタイミングと思われます。
手紙を読んだ義父母と、離婚を申し出られたご主人がそれぞれに相談し合うだろうと。
そこでは義父母はAさんが書いた手紙より息子の言葉を信じるでしょう。
これが第一ラウンドです。
最初の手紙では、いきなり進展しないかもしれませんが、次に義父母に送る手紙で彼のモラハラを十分に伝えます。
第二ラウンドで決着つけましょうか。二度目の手紙が決め手です。
義父母が本当に可愛いのは?
嫁ではありません。我が息子です。
そういうふうに持っていければ、義父母の方から
「あんな嫁はうちの息子に相応しくない」
と言ってもらえますよ。
これがAさんの離婚したい気持ちを応援してくれる義父母の構図です。
彼は離婚は無しと思っているでしょうが、今までAさんにしてきたことを考えればいずれ離婚を言い出されることになると、薄々でも感じている筈です。
ここはAさんの今までの人生の中でも最大の勇気を出して頑張ってみてください。
(A)はい。なんか頑張れそうな気がしてきました。最大の勇気ですね。
(行)はい。最大の勇気です。
以上です。
【相談後】
(A)
折角出して頂いたコーヒーも、あることを忘れてしまうくらい話に夢中になっていました。
やっぱり誰かに聞いて貰いたいたかったのです。
信じてもらえないことを良しとするということも勉強になりました。
ありがとうございます。
(行)
来週までに義理のご両親宛の手紙は作成しておきます。
次回は少し時間がかかると思います。
作成した手紙をこの場でAさんに手書きしてもらいます。
なので、白の封筒と便箋、それに書きやすいペンをご持参ください。
(A)
はい。分かりました。
(行)
帰りはお気を付けて。
では。
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