日々是別居契約相談「つまらない夫に懲りた妻、卒婚」実務Ver21
日々是別居契約相談「つまらない夫に懲りた妻、卒婚」実務Ver21
13時から予約していた(N)です。
お待ちしていました。
外は少し汗ばむ陽気ですか?
でも室内は心地よいですね。
飲み物はお茶でよろしいですか?
では始めましょう。
どうされましたか。
【問】
結婚して、そうですね早いもので25年が経ちました。
今まで問題がなかった訳でもありませんが子供がいましたから我慢してきました。
もう二人とも独り立ちしています。
夫は公務員をしています。
高校を出てからずっと働いてきた、所謂仕事人間です。
お見合いで結婚しました。
私もいい年だったし、公務員なら安定しているからいいかなぁと思って結婚したのですが。
あの時もっと考えていれば今日こうして先生とお会いすることもなかったのではないかと思ってしまいます。
一言でいえば「つまらない」のです。
夫は感情を表に出すのが苦手な無口な人で、家族への愛情表現等が一切ありません。
歳をとれば誰だってそうかもしれませんが、若い時からずーっと今の今まで。
それを性格だから仕方がないといってしまえばそれまでですが、私としては諦めきれないと申しましょうか、夫婦として家族としてせっかく同じ屋根の下に暮らしているのにもっと喜びを分かち合うようなこともあっていいのではと、じわじわですが思うようになってきました。
娘二人なのですが、夫のことは早い段階で諦めているみたいで、今では父親を他人を見るような目で見ています。
二人とも仕事を始めてからは一人暮らしをしています。
夫がいるときは寄りつこうとしません。
私は連絡を取り合っていますが、娘たちとはいつも外で会うことにしています。
夫は9時5時勤務でしかも土日は完全休日です。
また真面目な人で、寄り道もぜず家に帰って来ます。
殆どがそんな感じです。
お酒もたばこもやらないし、趣味といえるものは有りません。
私は旅行にも行きたいんですけど、夫曰く「旅先にはそこの地元の人の日常があるだけ」と、旅行に行きたい私の気持ちをはぐらかすようなことしか言わないのです。
娘たちも独立しているので私としてはペットも欲しいのですが、夫は嫌いみたいで。
直接聞いたわけではありませんが、テレビとかで見かける猫とか犬に何ら興味を示さないので、
それは嫌いかなと想像しています。
二人っきりで多くの時間を過ごすようになってきてから「息が詰まる」感じなのです。
老後、これからの方が長いといわれていますが、この先夫と二人の老後はとても耐えれそうにありません。
かといって直ぐに離婚といっても私は私で自分の生活に自信が持てませんから。
暫くは別居してもいいのではないかと思いまして。
上の娘に相談したら、一緒に暮らしてもいいと言ってくれているので同居させてもらおうかと考えています。
別居する場合の決め事とかあればお聞きしたいと思いまして参りました。
よろしくお願いします。
【回答】
つまらないけど息は詰まるということですね。
(N)
熟年になってきて、そろそろ退職後の生活も気になるころですから。
このままの夫と悠久の時を過ごすと思うと、気が重くて。
今のうちに何とかしたいのですが、考えても考えても結論らしきものが見つからないのです。
先生のご家庭はどうですか。
(行)
うちですか?
そうですね、自分もそんなに趣味とか持ってはいませんが、価値観というのでしょうか。
それは一致していると思っています。
彼女(妻)に聞いたらまた違う答えが返ってくるかもしれませんが。
それに猫が6匹いるので、その猫たちの世話に明け暮れています。
話題にも事欠かない状況で。
夫婦で猫生活を楽しんでますよ。
(N)
そうなんですね。
私もそういう生活がしてみたいですよ。
価値観の違いなんでしょうか、考えてみたらそうかもしれません。
同じテレビを見ることもなければ夫は音楽を愉しむこともしませんし。
私は好きなアーチストのライブとかも実は行きたい方なんですよ。
こんな叔母さんになってもそういう気持ちは持っていたいのです。
歳を重ねても気持ちだけは若くありたいものですから。
(行)
今の時代、団塊の世代の方たちも随分と若く、第二の青春を謳歌されている方も沢山いらっしゃいますから、一昔前の老人の括りはなくなってきましたね。
そう、人生100年時代ですよ。
さて本題に入りましょうか。
別居したいことはまだお伝えしていないのですか?
そうですか。
どういう伝え方がいいのかと言えば、それの答えは有りません。
無いというのではなく、反応は人それぞれ違うということです。
なので伝えてみないと分からないものなのです。
だから置手紙的なものが多いのです。
相手の反応を見ないで済みますから。
(N)
置手紙ですか。
どんな事を書けばいいのでしょうか。
(行)
そうですね。
恨みつらみは無しです。
根幹になるのは、今までの感謝と労いを主体にし何故別居したいかをご自身の感情に乗せた手紙でしょうか。
離婚までは今の時点では不透明であること。
それとご主人を不安にさせないために居場所をきちんと伝えておくこと。
娘さんのところですよね。暫くそこで生活してみると。
期限は設けた方がいいでしょう。
あまり短くても別居とは言えないので、そうですね3カ月ほどは最低欲しいかもしれないですね。
で、その3カ月を経過したときに一度今後のことを話し合うように設定しておくことでしょう。
その時に別居契約に移行するかもしれませんね。
別居は婚姻の継続なので権利関係はそのままですから。
婚姻費用についてもきちんと契約しておくことが望ましいです。
振り込まれた給与の振り分けです。
(N)
金銭の管理は私が全てやっていますので夫に振り込む形になると思います。
それを幾らにするとかですか?
(行)
そうです。
それと、それぞれが病気したときの対応をどうするかとか、ご両親がまだご健在なら介護についも契約の中で触れていたほうがよろしいかもしれません。
契約も期限を設けます。
1年更新です。
(N)
更新するんですか?
(行)
更新といっても、それぞれから異議がなければそのままです。
異議があった場合は期限の1カ月前に申し出ることで変更が可能という、そういう更新です。
(N)
分かりました。ではまずは手紙ということですね。
頑張って書いてみようかと思います。
手紙なんて数十年ぶりでしょうか、不安ですが。
先生は手紙をよく書いてあるのでしょうが、書くコツみたいのはあるのですか。
厚かましい質問で申し訳ないですが。
(行)
「コツ」ですか。
コツといえるかどうか分かりませんが、一番伝えたいことを最初に書きます。
手紙って最後まで読んでもらえるか分からないので、一番最初に最も伝えたいことを書きます。
後は読まれなくても最初の一行くらいは必ず目を通すでしょうから。
(N)
次回の相談までに手紙を書いてきます。
それをみてもらえないでしょうか。
(行)
いいですよ。
では次回はそういうことで。
(N)
もし書けなかったときはご依頼しても差し支えありませんか?
(行)
構いませんよ。
どんな手紙でも書きます。これ私の事務所のモットーです。
(N)
頑張って書いてはみますが、よろしくお願いします。
(行)
分かりました。
ではまた来週。
【相談後】
(行)
卒婚ということですよね。
別居というより卒婚としておきましょう。
それの方がよりNさんの気持ちが伝わりそうですよね。
(N)
ありがとうございます。
それを最初に書けば何とかなりそうです。
本当に長々と話してしまって、もうこんな時間だったのですね。
では次回もよろしくお願いします。
(行)
お疲れさまでした。
行政書士家族の問題法務事務所
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