日々是離婚相談「長期間の別居に終止符を」実務Ver31
日々是離婚相談「長期間の別居に終止符を」実務Ver31
16時に予約していた(H)です。
今日は少し冷えますね。
飲み物はコーヒーでよろしいですか?
では始めましょう。
どうされましたか?
【問】
年末の慌ただしい中ご相談時間を設けていただき有難うございます。
何としても今年中に決断しようと思いながら、そうですね秋口くらいから考えていたのですがなかなか時間も取れなくてこんな押し詰まってからの相談となって申し訳ないです。
実は8年ほど前に妻とは別居しています。
理由ですか?
その頃のことを?
私の浮気が元です。
離婚したかったのですが子供たちも多感な頃でしたし、お金に関しても十分な余裕もありませんでした。
妻はパートの仕事はしていましたが、それはほんのお小遣い程度のもので、彼女も離婚する準備すらない状況でした。
もちろんやり直せればよかったのでしょうが、浮気もありますがその前の5年ほどはそれこそ喧嘩の連続で夫婦関係としては破綻していました。
それで浮気が許されるわけもありませんが、自分としては少しヤケを起こしていたのかもしれません。
疲れて帰っても安らげない日々を長く続けていると体に段々と重しがくっついていくような感覚を覚えていました。
楽になりたいと願う気持ちが浮気に走らせたのではないでしょうか。
言い訳ですが。
私が家を出る形で別居しています。
学生が住むような安アパートに暫く住んでいました。
婚姻費用というのでしょうか、家計は妻が握っていましたからそのままです。
私の給料は妻経由で婚姻費用を差し引いた金額が振り込まれています。
そうですね毎月20万ほどです。
賞与時は少し増えますがそれでも苦しいですね。
で、今日はそんな生活にピリオドを打ちたくて、どうにか今年中に結論導いて来年には離婚したいと思っています。
長い別居で得るものはありません。
それはお互いの不幸ではないのかと最近よく思うのです。
来年が50歳という節目で、人生100年と言われますが残りの人生考えた時にこのままでは居れないと。
それは妻も考えていることと、我々夫婦の共通項ではないかと自分ではそう思っているのですが。
どうかよろしくお願いします。
【回答】
長いですね。
別居もそのくらい長くなると破綻という言葉も相応しくないですね。
準離婚ですね。
子供さんは?
(H)
二人いますがそれぞれ成人しました。
下の子は今も学生ですが、来年には卒業します。
これで親としての役目も終わります。
そのこともあってそろそろという気持ちが強めに出てきました。
やっとです。
(行)
まずどう進めましょうか?
離婚するというレールに乗っからせる必要がまずはあると思います。
長年の別居でそれぞれに難は逃れて今現在の落ち着いた生活がお互いに続いていますから離婚という生活の変化を受け入れさせるためにはまずはそこからではないでしょうか。
(H)
ではどういうふうにその離婚のレールに導けばいいのでしょうか。
(行)
奥様も離婚のことは全く念頭にないわけではないでしょうが、考えないようにしているという現在の位置と推測してことを進めましょう。
条件を送る前に一度手紙で離婚を真剣に前向きに考えていることを伝えておきます。
簡単な手紙でいいです。
(H)
メールでもいいですか?
(行)
構いませんが、後から証拠として残るほうが良いので出来れば手紙の方がいいと思います。
その手紙では策を講じる必要はありません。
受け取った奥様に衝撃を与える言葉、それは「離婚したい」と伝えればそれで構いません。
相手の離婚したくないという意志は無視しておきましょう。
もしかすると奥様も離婚したがっているかもしれませんが、安易に考えずに飽くまでも相手は離婚したくないとしておきましょう。
婚姻が継続している限り婚姻費用も続きますし、いざ別れるとなっても婚姻期間が長い方が年金分割でもお得ですから。
だから奥様は今のまま、できればこのまま長くと考えていると推測してもおかしくはありません。
だからその手紙の返事、そういうものは必要ありません。
送ってくるかもしれませんが期待はしないこと。
で、矢継ぎ早に離婚の条件を提示しましょう。
Hさん名義の不動産はありますか?
(H)
中古で買ったマンションがあります。
そこに住んでいるんですよ、妻と子は。
もうすぐローンも終わります。
それは妻に財産分与であげてもいいのですけど。
(行)
そうですか。
最初からそのマンションを分与する条件は無しのところから始めませんか。
出ていくように、少し乱暴ですが出ていってくれとしておきませんか。
勿論、そんなことはHさんの本意ではないでしょうが納得させるためには始めは大きな不安からスタートしていきましょう。
で、ここで奥様から返事をもらうよう。
必ず返事が来るように一言、条件の後書きとして付け加えます。
返事がなければ売却の手続きに入るとかなんとか付け加えておきましょう。
返事の期限も設けます。
短い期限の方が良いです。
誰かに相談されないように。
相談するでしょうがなるだけ焦らせるように。
これで奥様を離婚のレールに乗せることができるでしょう。
それからは奥様の不安の払拭です。
ここで離婚するのならマンションは分与するし、生活が安定するまでは金銭的な援助もする用意があると、Hさんの本当の気持ちを伝えていきましょう。
一度不安に晒された後の優しさには安堵が芽生えますから。
奥様も離婚後の生活が見えてくると思います。
ということで進められてはいかがですか?
(H)
最初から全ての手の内を見せてはいけないということですね。
(行)
そうです。
交渉事は全て次にくる事態を想定しながら、その時に切るカードをちゃんと用意しておかないと上手く進められませんから。
(H)
よく分かりました。
最初に書く手紙ですが簡単なものでいいのですね。
(行)
しっかりとHさんの気持ちが伝わるものにはしないといけませんが、長いものより短いものでいいですよ。
(H)
手紙なんてもう何十年も書いていないのでどう書けばいいのかさっぱりですが。
(行)
では私が書きましょうか。
奥様への感情無しに、本気で離婚がしたいということを端的に表現しておきます。
短めに。
(H)
ありがとうございます。
(行)
では新年にお会いするときには用意しておきます。
その次に送る条件ともども準備しておきます。
以上です。
【相談後】
(H)
今年中に相談できて良かった。
これでいい正月が迎えれそうです。
少し希望が湧いてきました。
自分一人では解決できないと思っていましたが、誰にどう相談したらいいのかも分からなかったもので。
ネットの情報はふんだんに調べましたが、どれもこれも寸止めの情報ばかりで(笑)
(行)
悩みを聞いてもらうだけでも大分違いますからね、悩みは抱えず吐き出すことで救われて解決行動がそのあと付いてくるものです。
では良いお年を。
(H)
先生も良いお年を。
行政書士家族の問題法務事務所
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